こうしたオファーは本物です。AI企業は、ほぼすべての業種で、実績のある企業に何年分もの社内記録の対価を支払っています。ただし、最初の金額と期限を決めるのは買い手です。実際には、メールから受ける印象よりも、時間も選択肢もあります。
誰が送ってきているのか
こうしたプログラムを運営している会社は8社ほどです。連絡が来る可能性が高いのは、Mercor、micro1、Scale AI、Handshake AI、Mode です。
その多くは、AI開発企業そのものではありません。御社のような企業から記録を買い取り、整えたうえで、大手のAI開発企業に転売しています。最終的にどのAI開発企業にデータが渡るのかを明かさない会社もあります。
背後にあるお金も本物です。2026年10月、micro1は今後12か月で企業データに10億ドルを投じる計画を明らかにしました。
買い手が求めているもの
製品ではなく、社内の仕事の回し方です。
買い手が見たいのは、仕事が人から人へどう流れるかです。問い合わせが見積もりになる流れ、顧客からのクレームが対策につながる流れ、プロジェクトがあるチームから次のチームへ渡る流れ。業種によって、それは作業指示書、サポートのチケット、顧客ファイル、プロジェクトのメモなどになります。多くの買い手はメールやチャットも求めます。意思決定が行われるのはそこだからです。
買い手はそれを使って、事務系の仕事をこなすAIを学習させます。AIは実在の会社の仕事の進め方を再現したもので練習し、どれだけうまくできたかで採点されます。
そのため、価格を左右するのは全従業員数ではなく、事務部門の人数です。従業員200人のうち事務部門が40人の会社は、こうした買い手から見れば40人の会社と同じです。
どのくらいの価値があるのか
価格表を公開している会社はありません。買い手が公表しているのは、おおよそ$100,000から数百万ドルという幅の広い金額で、それも見積もりという扱いです。
御社へのオファーは、1社の買い手が最初に示した金額にすぎません。2026年、スピリット航空(Spirit Airlines)が破産裁判所の手続きでメールとチャットの記録を売却した際、Googleは500万ドルから入札を始め、1,000万ドルで落札しました。その後、micro1が1,250万ドルを提示しました。同じ記録が、最初の金額の2倍以上になったのです。複数の買い手が入札していたからです。
期限と支払い
48時間で期限が切れるオファーを受け取っている経営者もいます。しかし、そうした期限を自社のウェブサイトに載せている買い手はありません。Modeという買い手は、14日間の保留期間を公表しています。
お金もすぐには入りません。多くの買い手は、データを受け取って確認した後でなければ支払いません。買い手によって、数週間から3か月かかります。支払いに何か月もかけられる買い手なら、契約書を読むための1週間くらいは待てるはずです。
まだ前例の少ない段階です
こうしたオファーを受けたことを公に話している企業は、ごくわずかです。同業者も業界団体も、おそらく顧問弁護士も、まだ実物を見たことがないでしょう。
今週やること
- 何も送らないでください。サンプルも、データの書き出しも、「connect your accounts(アカウントを連携)」のリンクもいけません。買い手はサンプルを見てから価格を決めるので、サンプルは取引の一部です。
- 返信して時間を確保する。関心があること、アドバイザーと検討中であること、7〜10日以内に回答することを伝え、条件の全文を書面で求めます。最初の48時間についての記事に、そのまま使える返信文があります。
- 差出人を確認する。メールが買い手自身のドメインから届いているか確かめてください。誰かの紹介で届いた場合は、その人が買い手から報酬を受け取っているか聞いてください。紹介1件につき最大$100,000を支払う買い手もいます。
- 求められているものと、その持ち主を書き出す。顧客から送られてきたファイルは、たいてい御社が売ってよいものではありません。また、契約でAIの学習への利用を禁じる大口顧客も出てきています。売れるもの・売れないものをご覧ください。
- 2社目の入札を取る。オファーが1件だけでは、価格とは言えません。